CROW×舟見佳子Interview Vol.1 「ライブ直前! RITTOR BASEへの意気込みは?」
1月都内某所にて音楽ライター舟見佳子さんに取材いただいた記事をBlack Cats会員様限定コンテンツとして掲載していきます。
初回インタビューはどなた様も無料でお読みいただけます。普段ライブでは話さないここだけのトークも満載です。
Vol.2は有料会員様限定で近日公開します。お楽しみいただけたら幸いです。
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「ライブハウスともホールとも違う、唯一無二の空間」(白石)
――RITTOR BASEは音響的にも機材的にも超ハイクオリティーな会場とのことですが、どんなライブにしたいと考えてますか?
上領 僕的には、トータルのサウンドを追求したいと思ってます。ドラムの立ち位置をどういう感じにするかって考えた時に、マイクは最小限に…、もしくは1本だけとか、もしくは生音くらいの感じでもいいのかなと思っていて。そしてその空間の中で、白石くんが出す音がどういうふうに出てくるのかっていうのが楽しみではあるんですけどね。でも、僕はそれを聴けないんですよ、自分が叩くから。
――外音は聴けないですからね。演者のジレンマですね。
上領 そうそう、聴けないんですよね。でも、自分の音も含めて、白石くんがどういうふうにバランスをとってくれるのかなっていうのがちょっと楽しみ。ただ、自分はそれを聴けないっていう(笑)。打ち方は違ってくると思うんですよ。ただ鳴らせばいいわけじゃないんだよね。だから、たぶんでかい音でやらない。そんなふうに現時点ではイメージしてますね。最初に下見で伺った時、CROWのCDをかけていただいて会場の音の鳴りを試聴させてもらったんですけど、真ん中の下あたりに自分でも気づいてなかった音があったんですよ。
――RITTOR BASEでCDを聴いてみたら、“こんな音が入ってたんだ!”って?
上領 この音ってこんな感じなの?っていう。そういうことがわかる空間なんですよね。もちろんそれは心地悪くはなかったので、制作者サイドとしては間違いじゃなかったねとは思ってるんだけど。でも、“こんな鳴り方するんだ!”っていうところがあったりしたのが、僕的にはちょっと衝撃だったんですよね。そういう奥行き感だったり鳴り方を、バランスやEQでどういう風にとっていって、どういう世界観を作るか。そのためにはリハがすごくポイントになってくるんだろうなって。RITTOR BASEでは、他のアーティストのライブもいろいろ開催していると聞きましたけど、やっぱり我々ならではっていう感じのものにできたらいいなと思ってますし。
――初めてやる箱だと、どういう音にしようとか具体的に大変なんだろうなとは思います。
白石 そうですね。ライブハウスとは違うし、ホールともまた違う。唯一無二の空間じゃないですか。だから、上領さんがおっしゃったように、もちろん生音も大事なんですけど、あそこの空間…、ローズウッドを張った床の反射の音も含めて、聞こえる音をどうバランスよく作っていくかが重要ですよね。ライブハウスの楽しみ方とはまた違う空間になると思うんです。例えば、前列にいる人と後ろの人とでは、聞こえ方も当然変わってくるだろうし。自分としては、可能ならばステージじゃなくて、客席側の真ん中あたりで聴きたい。
――音のバランスが一番いいポジションですね。
白石 そこで自分たちの演奏を聴いてみたいですよね。下見の時にクラフトワークの曲を試聴させてもらったんですけど、それもめちゃめちゃ良い音でびっくりしました。
上領 白石くんが一番いい場所で聴くのはいいアイデアかもよ。それで周りの人はその音作りを共有するっていう感じとか。RITTOR BASEのサウンドのディレイとかリバーブの感じ? それを加味してどれだけの空間を作れるかっていうのも大きいじゃないですか。そういうのも、どうやっていくのかなっていうことを考えなきゃいけないし。
白石 そうですね。こっちで出す音…、もちろん楽器の生音もそうだし、同期の音も生音とするならば、現地(=RITTOR BASE)で付加される、そこならではの残響とかが一緒になった時にどういう響きになるのか。それも楽しみですね。
――RITTOR BASEは映像もプロジェクターで流せますしね。上領さん、新しい映像は作ってらっしゃるんですか?
上領 今作ってます。やってますよ。
――スイッチングでカメラ入力が切り替わりますから、配信のほうは映像だけになったり出演者のアップになったり、配信ならではの楽しみ方ができるかもしれないですね。
上領 ああ、そうですよね。会場では観られないアングルを楽しめますよね、きっと。
「3曲入りとかで記念盤のCDを作ってもいいね」(上領)
――今回のライブにはcali≠gariの石井秀仁さんがゲスト・ボーカリストとして参加する事になっています。石井さんは、バトゥール東京で開催された上領さんの60th Birthday“龍鼓の宴”の時にも、CROWの第三のメンバーになりたいというコメントを寄せてくださってました。
(NeoBalladの公式サイトにも掲載中。https://neoballad.com/news/1078)
上領 秀ちゃんは昔から知ってるけど、彼は年を取るごとにカッコよくなりますよね。本当に、どんどん素敵になっていくっていうか。秀ちゃんのおかげっていうことがCROWにはいっぱいあるので、今回は逆に報いたいなと思っていて。彼をカッコよく見せてあげたいというか、そういう気持ちはありますね。
――石井さんが参加したCROWのライブは観たことがないので、とても楽しみです。
上領 めちゃめちゃいいですよ。秀ちゃんが歌ってる音源も既に1曲ありますし。
白石 配信のみですけどね。
上領 まだ配信のみでしかリリースしてないんですけど、あの曲ももう一回ちょっと焼き直して、今回出してもいいよね。
――その音源って、最近新たにレコーディングしたものなんですか?
白石 元々は以前のCROWライブで遠藤(遼一)さんが歌っていた曲なんですけど、それを焼き直して、全然別の曲になったんです。
上領 今回のバージョンもめちゃめちゃかっこいいですよ。
白石 RITTOR BASEではその曲もやります。
上領 あれはまだ盤面になってないから、記念盤を作ってもいいかな。
白石 そうそう。だから『Brand New Ocean』には敢えて入れなかったんです。
上領 あと2曲くらいあったら3曲入りとかで、記念のアルバムみたいな盤を作るのもいいね。そういう気軽に出せる感じがいいなと思っていて。ジャケットとかデザインもこだわっていろいろやっていくと、やっぱり大変なことになっちゃう。でもその割には、CDってそんなに需要ないじゃないですか。気軽に手に取ってお土産みたいな感じで持って帰れるものだといいねっていうのはちょっと考えていて。この前のCROWの盤面は良かったですね。
——“龍鼓の宴”の時に会場で発売開始した『Brand New Ocean』ですね。
白石 そうですね。あれはいいバランスでしたね。
――フットワーク軽く、フレッシュな新アイテムを作ってもらえるのは嬉しいです。
上領 あと、これは僕の個人的な野望なんですけど、ゆくゆくはRITTOR BASEでね、夢時とか村井(研次郎)くんも入れて、生楽器の感じであの空間でやったら、すげえカッコ良いんじゃないかな。今回の2daysを成功させて、次にも繋げていけたらいいな…なんてことも考えてます。
(取材・文=舟見佳子)